たけた日和ときどき旅|大分・竹田の魅力を発信する応援ブログ

竹田を旅して、竹田を想う。大分県竹田市の人・まち・自然をつなぐ“日和”をお届けします

城下町・竹田で味わう一皿 ― 三日月珈琲焙煎所 月鐘楼「荒城の月カリー」

竹田の城下町を歩いていると、ふと立ち寄りたくなる小さな店がある。三日月珈琲焙煎所 月鐘楼(げっしょうろう)。かつて岡藩の要人をもてなした「御客屋敷」で、自家焙煎の珈琲と一皿のカリーが、今日は旅人であるあなたを迎えてくれる。

舞台は、市指定史跡「御客屋敷」

豊後竹田駅から歩いて約7分。竹田の城下町に、市指定史跡「御客屋敷」と呼ばれる建物がある。月鐘楼は、この史跡をカフェとして公開活用する形で営業している一軒だ。

御客屋敷は、岡藩が他藩からの使者をもてなすために設けた施設。「御使者屋」とも呼ばれ、今でいう迎賓館にあたる。管理を担ったのは代々の伊東家で、初代・伊東源兵衛は藩主・中川秀成公とともに播磨国三木から竹田へ入り、文禄3年(1594)に亭主となったと伝わる。幾度かの大火で焼失と再建を繰り返しながらも、現在の建物は文化3年(1806)に建てられたもの。実に築200年を超える。

この地を語る上で欠かせないのが、文化7年(1810)、九州測量のため竹田を訪れた伊能忠敬が、23日間にわたって御客屋に逗留したという記録だ。日本地図を作った男が、この庭を眺めていたかもしれない——そう思うと、縁側に座る時間の重みが少し変わってくる。

昭和47年(1972)に市指定史跡となり、現在は竹田市が所有・保存修理を経て公開。枯山水の庭園は、観音寺の遠見燈籠や八幡山を借景とする南画的な趣を今に伝えている。「客人をもてなす」ためにあった場所の役割は、実は今もほとんど変わっていない。ただ迎える相手が、藩の使者から城下町を訪れる旅人に変わっただけだ。

「おもてなし」を一皿に。荒城の月カリー

その"おもてなしの間"で供される看板メニューが、「荒城の月カリー」(1,500円)。瀧廉太郎ゆかりの岡城跡を、一皿の中に表現した一品だ。

卵は満月に、ご飯は城壁に見立てられている。使われているのはおおいた和牛100%。ほろほろになるまで煮込んだすね肉と、じっくり炒めた飴色玉ねぎが、深い旨味を作り出す。仕上げにレーズンバターを添えて、甘みと香りの余韻を残す。かつて藩の客人に最上のもてなしを尽くした場所で、今は誰もが同じように"一番のごちそう"を出してもらえる——そんな贅沢さが、この一皿にはある。

実はこの一皿、2026年の「駅長対抗 ご当地カレー総選挙」にもエントリーしている絶品。豊後竹田駅の駅長が自信を持って推薦した、竹田を代表する一杯だ。

珈琲と月菓子も、あわせて

カリーだけでなく、自家焙煎の珈琲や「月菓子」と呼ばれるスイーツも、月鐘楼の楽しみのひとつ。新月・三日月・満月と、焙煎の深さを月の満ち欠けになぞらえた珈琲や、岡城跡の城壁をイメージした「城壁プティング」など、城下町の物語を感じさせる品が並ぶ。カリーの後に、ゆっくり珈琲を一杯——そんな過ごし方がよく似合う店だ。

アクセス・営業情報

  • 所在地:大分県竹田市竹田町486番地1(旧岡藩御客屋敷)
  • アクセス:JR豊後竹田駅から徒歩約7分
  • 営業時間:11:00~17:00(ラストオーダー16:30)
  • 定休日:水曜日・木曜日
  • 価格:荒城の月カリー 1,500円

城下町散策のしめくくりに

岡城跡を歩き、廉太郎トンネルをくぐり、城下町の路地を巡ったあとは、御客屋敷で一皿のカリーと珈琲を。かつて藩の客人がもてなされた場所で、今度はあなたが主役になる番だ。竹田という町の歴史を、味わいの記憶として持ち帰る——そんな旅の締めくくりに、ぜひ訪れてみてほしい一軒だ。

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【2026年9月30日出発まで】JAL往復で竹田を応援しよう。使えるクーポンと、泊まって・巡って支える旅の提案

「旅で応援!」――JTBが打ち出すこのフレーズどおり、今回ご紹介するのは単なる割引情報ではありません。JAL往復を利用して大分県・竹田エリアに宿泊するだけで、旅行代金から1万円が引かれるクーポンです。旅先を「消費する」のではなく「応援する」。そんな旅の形を、竹田・久住・長湯温泉エリアの宿と、竹田市内で今まさに見頃を迎えているスポットとあわせてお届けします。

JAL往復限定「九州ツアークーポン」の内容

クーポンの基本条件

このクーポンは、JTBが実施する「【旅で応援!】往復JAL利用限定 九州ツアーで使える割引クーポン」の一枚です。出発対象期間は2026年8月25日(火)〜9月30日(水)、予約対象期間は2026年8月24日(月)〜9月29日(火)。利用にはJTBトラベルメンバー会員登録が必要ですが、居住地の制限はありません。

割引額|大分県は100,000円以上の利用で10,000円引き

クーポンは宿泊先のエリアによって2種類に分かれており、大分県が含まれるのは【福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・宮崎県】宿泊クーポンです。

対象:2名以上の宿泊(泊数指定なし)
割引:100,000円以上の利用で10,000円引き
クーポンコード:jalkc
パスワード:h007
配布数:先着250枚

熊本県・鹿児島県は別枠(15,000円引き・パスワードh008)となっているため、竹田を目指す場合はh007の方を使うことになります。

利用可能プラン・予約方法・注意点

利用できるのは、JTB宿泊プラン、るるぶトラベルプラン、JR+宿泊プラン、飛行機+宿泊プランの4種類。Web予約のほか、JTB店舗・提携販売店・旅の予約センター・JTBリモートコンシェルジュ・JCBトラベルでも利用できます。

ここで竹田を応援する側として、一つだけ念を押しておきたい注意点があります。予約完了後にクーポンを後から適用することはできません。Web予約の場合は「申込内容確認」画面で、必ず割引が反映されているかを確認してから決済に進んでください。店舗等を利用する場合は、スタッフにクーポンコードとパスワードを伝える必要があります。

先着250枚という数には限りがあります。竹田を旅の目的地に選んでくださる方に、できるだけ早くこの案内が届きますように。

【旅で応援!】往復JAL利用限定 九州ツアーで使える割引クーポン

もう一つの選択肢|「おんせん県おおいた」クーポン

JAL往復限定のクーポンとあわせて知っておきたいのが、航空会社の指定がない「おんせん県おおいた おすすめ施設で使える割引クーポン」です。飛行機の便を選ばず、JRや宿泊単体のプランでも使えるため、行き方の自由度を優先したい方にはこちらが向いています。

利用条件・割引額

  • 宿泊対象期間:2026年6月1日(月)〜9月30日(水)
  • 予約対象期間:2026年5月25日(月)〜9月30日(水)
  • 対象地域:大分県の対象施設
  • 適用除外日:7月18日〜20日、8月8日〜11日、9月19日〜23日
  • 利用者条件:JTBトラベルメンバー会員限定

割引額は利用金額に応じて3段階から選べます。

利用金額 割引額 クーポンコード パスワード 配布枚数
60,000円以上 6,000円引 oitac g664 先着200枚
30,000円以上 3,000円引 oitac g663 先着500枚
10,000円以上 1,000円引 oitac g662 先着600枚

利用可能プランはJTB宿泊プラン、るるぶトラベルプラン、JR+宿泊プラン、飛行機+宿泊プランの4種類で、対象施設以外が含まれる予約や、適用除外日をまたぐ予約には利用できません。

おんせん県おおいた おすすめ施設で使える割引クーポン

JAL限定クーポンとの使い分け

この2つのクーポンは、どちらか一方を選んで使う形になります。JALで羽田・伊丹などから直接飛びたい方はJAL限定クーポン(jalkc)を、航空会社やJR・現地移動の自由度を優先したい方は「おんせん県おおいた」クーポン(oitac)を、というように、旅のスタイルに合わせて選んでみてください。予約時には、選んだクーポンが「申込内容確認」画面で正しく適用されているか、必ず確認することをおすすめします。

クーポンが使える!竹田・久住・長湯温泉エリアの宿泊施設

竹田・久住・長湯温泉エリアには次の7軒がJAL限定クーポンの対象施設として並びます。温泉、離れ、高原リゾートと、タイプの異なる宿がそろっているので、旅のスタイルに合わせて選んでみてください。

レゾネイトクラブくじゅう

阿蘇くじゅう国立公園内に建つ、自然との共生をテーマにしたリゾートホテル。大人の隠れ家として、雄大なくじゅう高原を望む客室でゆっくり過ごせます。スタンダードタイプの洋室(ツイン)は42平米あり、禁煙ルームでの滞在が可能です。夕食にフレンチを用意するプランもあり、高原リゾートらしい非日常感を味わえます。

宿房翡翠之庄 The kingfisher resort

3万坪の敷地に離れが点在する、長湯温泉エリアの宿。自家高濃度炭酸源泉かけ流しの湯と、自家菜園の野菜やエノハ料理でもてなしてくれます。和室スタンダードの「旅籠の棟」のほか、内湯付きの離れ「竹田」(74.11平米)も選べ、静けさの中にゆったりとした時間が流れます。

フリューゲル久住

一万二千坪という広大な敷地を持つ、久住高原の宿。かけ流しの天然温泉と創作コース料理が魅力で、離れタイプの和洋室(8畳+洋間)には露天風呂が付いています。共同の大浴場はなく、各部屋に内風呂・露天風呂を備える造りなので、周囲を気にせず湯あみを楽しみたい方に向いています。

大丸旅館

長湯温泉街の中心に位置する老舗旅館。4つの源泉を持ち、なかでも「外湯ラムネ温泉」は全国的にも知られる炭酸泉です。別館・藤花楼の和室(12畳+次の間)には書斎が付いた部屋もあり、夕食・朝食は個室食事処でゆっくり味わえます。JTBお客様アンケート評価は総合85点と、竹田・久住エリアの中でも高い評価を得ています。

丸長旅館

芹川のほとりに佇む、創業100年の小さな日本旅館。素朴なたたずまいの中に、日本旅館らしい味とくつろぎを大切にしたおもてなしがあります。和室(10畳+踏込)で、源泉かけ流しの炭酸泉を飲用・入浴の両方で楽しめるのが特徴です。

御宿友喜美荘

長湯温泉街から少し離れた、平屋造りの一軒宿。静けさと大自然に包まれ、露天風呂から満天の星を見上げられる立地です。デッキ付き客室(和室10畳)で、夕食は一品ずつ提供されるスタイルのため、ゆっくりと時間をかけて味わうことになります。

久住高原コテージ

見渡す限りの大自然と澄んだ空気、満天の星空が広がる久住高原のコテージ。和室・洋室いずれかのリクエストが可能で(空き状況による)、高原の清々しさの中で心身をリフレッシュできる一軒です。

【旅で応援!】往復JAL利用限定 九州ツアーで使える割引クーポン

竹田市内のおすすめスポット|応援したい竹田の「今」

宿を決めたら、竹田滞在の時間もぜひ豊かにしてください。ここでは、竹田の歴史・自然・食、それぞれの分野から、今の季節ならではのスポットをご紹介します。

岡城跡・竹田城下町|400年の物語に触れる

滝廉太郎の名曲『荒城の月』のモチーフとしても知られる岡城跡。標高325mの天神山に築かれた石垣群は、単なる桜の名所にとどまらない、戦国期の高度な築城技術の証人です。城下町として栄えた竹田の町並みとあわせて歩けば、竹田という土地の背骨に触れるような時間になります。

詳しくはこちらの記事もご覧ください

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くじゅう花公園「オータムフラワーフェスタ」|9月12日〜11月3日

クーポンの利用期間とちょうど重なる形で、くじゅう花公園では2026年9月12日(土)から11月3日(火・祝)まで「オータムフラワーフェスタ」が開催されます。標高850mの「天空の花畑」で、ケイトウやマリーゴールド、渡り蝶アサギマダラなど、久住高原ならではの秋景色に出会えます。

詳しくはこちらの記事もご覧ください。

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七ツ森古墳群|約20万本の彼岸花に包まれる竹田の古墳

竹田市菅生地区にある国指定史跡・七ツ森古墳群は、9月中旬から下旬にかけて約20万本の彼岸花が咲き誇る、知る人ぞ知る名所です。1500年以上前の古墳と、毎年律儀に咲く彼岸花が同じ丘の上に共存する、竹田ならではの秋の風景をぜひ見に行ってみてください。

詳しくはこちらの記事もご覧ください。

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竹田城下町KABOSUでわっしょい♪2026|城下町がカボス色に染まる1か月

竹田の特産品「カボス」をテーマにしたイベント「竹田城下町KABOSUでわっしょい♪2026」が、2026年8月28日(金)から9月27日(日)まで開催中です。城下町エリア32店舗でのカボスメニュー提供のほか、9月26日には楽市楽座やカボスビアガーデンも予定されています。クーポンの予約対象期間ともほぼ重なるので、宿泊とあわせて城下町散策の予定に組み込みやすいイベントです。

詳しくはこちらの記事もご覧ください。

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まとめ|クーポンを片手に、竹田を応援する旅へ

JAL往復利用限定の九州クーポンは、2026年9月30日出発分まで、先着250枚という期間・数量限定の企画です。竹田・久住・長湯温泉エリアには、高原リゾートから炭酸泉の老舗旅館まで7つの宿が対象となっており、滞在のスタイルに合わせて選ぶことができます。

そして竹田の町では今、彼岸花に染まる古墳、天空の花畑、カボス色の城下町と、この季節にしか出会えない景色が同時に広がっています。旅先としてではなく、応援したい土地として竹田を選んでいただけたら――そんな思いを込めて、今回のクーポン情報をお届けしました。

【旅で応援!】往復JAL利用限定 九州ツアーで使える割引クーポン

国指定史跡・七ツ森古墳群|約20万本の彼岸花に包まれる竹田の古墳

七ツ森古墳群とは?竹田市に残る国指定史跡

大分県竹田市の西部、菅生(すごう)地区。国道57号線を熊本方面へ向かって走っていると、田園風景の中にふと小さな丘が連なって見えてくる場所があります。ここが「七ツ森古墳群(ななつもりこふんぐん)」です。

その名の通り、かつては7基の古墳があったと伝えられていますが、現在残っているのは前方後円墳2基、円墳2基の計4基。1959年(昭和34年)5月13日には国の史跡に指定され、竹田市が管理団体として保存にあたっています。

戸上の丘陵地にひっそりと佇むこの古墳群は、古墳時代の竹田地域を今に伝える、貴重な文化財なのです。

七ツ森古墳群の古墳を見てみる

比較的古い時期につくられた前方後円墳

七ツ森古墳群の中でも中心的な存在が、2基の前方後円墳です。文化庁の解説によれば、これらの前方後円墳は比較的築造時期の古いものと見なされており、七ツ森古墳群の中でも早い段階で築かれたと考えられています。

柄鏡式の前方後円墳と約47mの墳丘

2基の前方後円墳は、いずれも前方部が細長く伸びる「柄鏡式(えかがみしき)」と呼ばれる形態で、前方部を西に向けて築かれています。文化庁の登録解説では、主軸の長さ約47メートル、高さ約6メートルとされています。

個別に見ると、このうちB号墳は全長51メートル、後円部の径28メートル・高さ6メートル、前方部の幅8メートル・高さ3メートルという規模を持ちます。1500年以上前に、これほどの土木工事が人の手で行われていたと思うと、あらためて古墳時代の人々の力に驚かされます。

円墳に残る古式の石棺

一方、西端に位置する円墳(A号墳)は、基底径約20メートル、高さ4メートル。内部には小型の舟形石棺が納められています。石棺に添えられた石枕が小さいことから、埋葬されたのは幼い子どもだったのではないかとも考えられています。

大きな前方後円墳とは対照的な、小さな円墳。そこに眠る小さな石棺を思うと、古墳時代の家族の姿にも思いを馳せずにはいられません。

七ツ森古墳群が史跡として評価される理由

古墳の形や規模がよく残されている

七ツ森古墳群が国指定史跡として高く評価されている理由のひとつが、墳丘の形や規模が築造当時の姿をよく留めていることです。長い年月を経てもなお、柄鏡式前方後円墳特有の輪郭がはっきりと確認できる古墳は、全国的に見ても貴重な存在です。

発掘調査で見つかった石棺と副葬品

1954年(昭和29年)、前方後円墳の1基で発掘調査が行われました。後円部の頂上からは箱形組合式石棺が検出され、内部には伸展葬された成人男性の遺骸が納められていたことがわかっています。あわせて、管玉・小玉などの玉類、石釧(いしくしろ)、鹿角装刀子(ろっかくそうとうす)といった副葬品も出土しました。

これらの副葬品は、埋葬された人物が地域において一定の地位を持つ人物であったことをうかがわせます。

古墳時代の竹田地域を知る手がかり

よく残された墳丘の規模、そして発掘で明らかになった古式の石棺と副葬品。この2つが揃っていることで、七ツ森古墳群は「この地方における古文化を知る上に価値高いもの」と評価されています。竹田という土地に、古墳時代からすでに人々の営みと権力構造があったことを、静かに物語ってくれる場所なのです。

七ツ森古墳群を彩る秋の彼岸花

七ツ森古墳群は彼岸花の名所としても知られる

史跡としての価値だけでなく、七ツ森古墳群にはもうひとつの顔があります。それが、彼岸花(曼珠沙華)の名所としての姿です。古墳周辺の約600坪(2反)ほどの土地に、なんと約20万本もの彼岸花が群生しています。

もともとは昭和29年頃から荒れてしまっていた古墳の敷地を、地元の方々が整備し始めたことがきっかけでした。その過程で野生の彼岸花が少しずつ広がっていき、今のような群生地になったといいます。

古墳の周囲に広がる彼岸花の風景

例年9月中旬、特に9月20日前後になると、古墳の周りは真っ赤な彼岸花で埋め尽くされます。駐車場のすぐ近くから群生が始まり、古墳の間を縫うように小道が続いているので、足元に気をつけながらゆっくりと散策できます。

実はこの彼岸花、大林宣彦監督の映画『22才の別れ』の回想シーンにも登場したことがあり、それをきっかけに知名度がさらに広がったというエピソードも残っています。

古墳と彼岸花がつくる秋の竹田の景観

彼岸花が咲き終わる少し前、8月中旬頃には同じヒガンバナ科のキツネノカミソリがオレンジ色の花を咲かせます。夏の終わりから秋の彼岸まで、七ツ森古墳群はリレーのように花の季節を迎える場所でもあるのです。

古墳と彼岸花が残る竹田の風景

歴史を伝える古墳と、季節を彩る彼岸花

1500年以上前の古墳と、毎年律儀に咲く彼岸花。時間軸としては大きく異なる2つの存在が、同じひとつの丘の上に共存している。これこそが、七ツ森古墳群という場所の面白さだと思います。

地域の人々によって守られてきた景観

荒れていた古墳の敷地を地元の方々が整備し続けてきたからこそ、今の景観があります。史跡としての古墳も、彼岸花の群生も、どちらも地域の人の手によって大切に受け継がれてきたものなのです。

秋の竹田を訪れるなら立ち寄りたい場所

竹田市街地から国道57号線を熊本方面へ向かう道中、ぜひ立ち寄ってほしいのが七ツ森古墳群です。文化財としての価値と、季節の花が織りなす風景。その両方を、静かな丘の上で一度に味わうことができます。

七ツ森古墳群へのアクセス・見学情報

七ツ森古墳群の場所

住所は大分県竹田市菅生戸上370-2。国道57号線沿いにあり、「道の駅すごう」から約1kmの距離です。「七ツ森古墳入口」という交差点があるので、それを目印に曲がると分かりやすいでしょう。

車で訪れる場合

駐車場は20〜30台ほど停められる広さで、奥にはトイレも設置されています。彼岸花の見頃時期には混み合うこともあるので、時間に余裕を持って訪れるのがおすすめです。竹田インターチェンジから熊本方面へ向かうルートが分かりやすく、車での訪問に適しています。

 

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【2026年版】くじゅう花公園「オータムフラワーフェスタ」見頃と見どころ完全ガイド|竹田・久住高原

くじゅう花公園の「オータムフラワーフェスタ」とは

2026年の開催概要

大分県竹田市久住町のくじゅう花公園で、2026年9月12日(土)から11月3日(火・祝)まで「空とつながる天空の花畑 オータムフラワーフェスタ」が開催されます。約22万平方メートルの敷地に、秋を代表する花々が次々と見頃を迎える、久住高原ならではのスケールの大きな花畑です。

標高850m、くじゅう連山を望む「天空の花畑」

くじゅう花公園があるのは標高約850m、西日本のフラワーパークの中でも最高クラスの高さに位置します。目の前にはくじゅう連山、振り返れば阿蘇五岳という二つの名峰を望むロケーションで、平地より3〜5度ほど涼しい空気の中、そよ風に吹かれながら花畑を歩けるのがこの時期ならではの心地よさです。「天空の花畑」という呼び名も、決して大げさではありません。

秋の花々が一斉に見頃を迎える季節

期間中の開花予想は、トリコロールサルビアが9月上旬〜10月中旬、渡り蝶アサギマダラの飛来が9月下旬〜10月中旬、アフリカンマリーゴールドが9月下旬〜10月下旬ごろとされています。訪れるタイミングによって主役の花が入れ替わっていくので、同じ秋でも何度でも違う表情に出会えるのが魅力です。

2026年秋、くじゅう花公園で見たい花々

高原を鮮やかに染める7万株のケイトウ「高原の彩り」

園内でもっとも見晴らしのよいエリア「高原の彩り」には、九州最大級となる7万株のケイトウが植えられます。品種は英国生まれの「ブライトスパークス」。情熱的な赤「スカーレットシェード」、深みのある赤紫「バーガンディ」、輝くような黄色「ブライトイエロー」の3色が入り混じり、秋空の下でまるで絵の具を流し込んだような景観をつくり出します。

黄金色に輝く6万株のマリーゴールド「そよ風の丘」

くじゅう花公園の秋を象徴するマリーゴールドは、今年も6万株が「そよ風の丘」に登場。名前の通り高原の風が吹き抜ける丘一面が黄金色に染まる様子は、遠くから眺めても、花のすぐそばに立っても、それぞれに違う迫力があります。

青・白・赤のトリコロールサルビアとコキアが並ぶ「四季彩の丘」

「四季彩の丘」では、赤の「サルビア ボンファイヤー」、青紫の「ビクトリアブルー」、白の「ビクトリアホワイト」による三色(トリコロール)のサルビアが、約4,000平方メートルの畑に咲きそろいます。同じエリアにはコキアも植えられており、秋が深まるにつれて緑から赤へと色づいていく変化も楽しみのひとつです。

秋色に染まる千日紅の「彩りの丘」

「彩りの丘」の主役は千日紅。名前の通り長く咲き続ける花で、鮮やかな色を保ったまま秋の高原を彩ります。派手すぎない落ち着いた色合いが、久住ガーデンなど周辺の景色とも調和します。

寄せ植えが織りなすパッチワーク「みはらしの丘(秋彩の畑)」

「みはらしの丘」に広がる「秋彩の畑」は、約2万株の花々を園独自の栽培方法で寄せ植えした、パッチワークのような色彩が魅力のエリアです。単一の花畑とは違う、色の組み合わせそのものを楽しめる場所として来園者から人気を集めています。

海を渡る蝶・アサギマダラに出会える「クレマチスガーデン」

「クレマチスガーデン」に植えられたフジバカマの香りに誘われて、9月下旬から10月中旬ごろにかけて、海を渡ることでも知られる渡り蝶・アサギマダラが飛来します。ピーク時には300〜400頭ほどが乱舞することもあり、写真愛好家が数多く訪れる、この季節ならではの光景です。

花だけじゃない!期間中の特別イベント

「世界の蝶展」で珍しい蝶を楽しむ

9月19日(土)から10月25日(日)までは「世界の蝶展」を開催。花畑を舞うアサギマダラとあわせて、普段なかなか見ることのできない世界各地の蝶たちにも出会えます。

夜の花畑を楽しむ「ナイトフラワーパークAutumn」

10月3日(土)・10日(土)・11日(日)・24日(土)・31日(土)の5日間は、夜間ライトアップイベント「ナイトフラワーパークAutumn」を開催(10月3日の日没時刻は17:57ごろの予定)。日中とは違う光に包まれた花畑は、秋の夜長にぴったりの幻想的な時間を過ごせます。

10月31日・11月1日は「秋のワンちゃん大集合」

10月31日(土)・11月1日(日)の2日間は「秋のワンちゃん大集合」を開催。くじゅう花公園はドッグラン併設で愛犬同伴での入園もできるので、秋の高原を家族みんな(もちろん愛犬も)で満喫できます。

秋のくじゅう花公園と一緒に楽しみたい竹田の旅

久住高原の景色を楽しむ

くじゅう花公園を訪れたなら、そのまま久住高原をひと巡りするのもおすすめです。牧草地の向こうにくじゅう連山がそびえる、日本離れしたスケールの景観が広がり、車を停めて深呼吸したくなるような開放感を味わえます。

温泉で秋の高原旅を締めくくる

竹田市内には、日本有数の炭酸泉として知られる長湯温泉(直入町)があります。芹川沿いに湯宿や共同浴場が点在し、建築家・藤森照信が手がけたラムネ温泉館や、川の中に湧く露天風呂「ガニ湯」など、炭酸泉ならではの湯浴みが楽しめます。花畑歩きで火照った体を、秋の夕暮れとともにゆっくり癒すのにぴったりです。

 

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竹田市街地まで足を延ばして城下町を歩く

もう少し足を延ばせば、岡藩の城下町として栄えた竹田市街地へ。「荒城の月」のモデルとなった岡城跡は、標高325mの岩山に築かれた石垣が今も残る、竹田を代表する史跡です。城跡で少年時代を過ごした滝廉太郎ゆかりの記念館や、当時の面影を残す武家屋敷通りもあわせて歩けば、花畑とはまた違う、歴史の物語に触れる時間になります。

 

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まとめ|秋の久住高原で、花と空を楽しむ一日

標高850mの高原に広がる花畑、渡り蝶アサギマダラとの出会い、夜のライトアップ、そして竹田の温泉や城下町。くじゅう花公園の「オータムフラワーフェスタ2026」を起点に、久住高原から竹田市街地まで足を延ばせば、花・自然・歴史のすべてを味わえる秋の一日旅が完成します。会期は11月3日まで。ぜひ、空とつながるような天空の花畑に会いに出かけてみてください。


行っておきたい方への基本情報

  • 開催期間:2026年9月12日(土)〜11月3日(火・祝)
  • 開園時間:8:30〜17:30(最終受付17:00)※シーズン中無休
  • 入園料:おとな(高校生以上)1,000円〜(花の見頃により500〜1,300円で変動)、こども(5歳以上)400円〜(無料〜500円で変動)
  • アクセス:公共交通機関では直接来園できないため、車またはタクシーでの来園がおすすめです

くじゅう花公園入園券はこちらから

※料金・開催日程等は変更になる場合があるため、お出かけ前に公式サイトでの最新情報のご確認をおすすめします。

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一夜限りの水上能舞台「竹田薪能」2026|篝火と三日月が照らす岡藩400年の物語

一夜限り、水面に浮かぶ能舞台「竹田薪能」とは

大分県竹田市で、令和8年10月31日(土)、一夜限りの特別な舞台が姿を現します。その名も「竹田薪能」。会場は市街地から少し離れた三日月岩前、稲葉川沿いに設けられる水上特設舞台です。開場は16時、開演は17時。夕暮れとともに篝火が焚かれ、能舞台は水面に映る炎と月とともに幽玄の世界へと変わっていきます。

主催は竹田薪能実行委員会(竹田市観光ツーリズム協会内)と一般社団法人塩津能の會。演目は喜多流による能・舞囃子と、岡藩ゆかりの大蔵流山本東次郎家による狂言という、格式高い顔ぶれです。

開催概要(日時・場所・料金の基本情報)

日時:令和8年10月31日(土)開場16:00/開演17:00
会場:三日月岩前水上能舞台(大分県竹田市挾田)
雨天時会場:グランツたけた(大分県竹田市玉来1番地1)
※雨天の場合も公演は中止せず、屋内会場への変更または日程を改めての開催となります。当日正午までに公式サイトで発表されます。

なぜ「三日月岩」の前なのか

会場に選ばれた三日月岩は、岡城二の丸月見櫓跡の北側、稲葉川沿いの絶壁に彫られた岩窟です。岡藩主・中川久通が彫らせたと伝わり、月の刻みには灯明台を置くための窪みまで用意されています。この岩の前に浮かぶように設けられる水上舞台こそが、竹田薪能を全国でも類を見ない公演にしている理由です。

岡藩400年の記憶を今に継ぐ物語

竹田薪能のルーツは、今から400年ほど前に遡ります。岡藩主のために催されていた能楽は、やがて城下町の町人たちにも親しまれるようになり、元禄の頃には竹田の町に謡の声が響いていたといいます。その文化は今も「お謡」として地域に受け継がれ、竹田薪能はその歴史の延長線上にある公演です。

岡藩主・中川久通と三日月岩の由来

三日月岩に刻まれた三日月は、弦の長さ3m21cm、最大幅45cm、奥行35cmという大きなもの。岩面には「元禄十五年八月彫之」の文字が刻まれ、江戸時代中期、岡藩主・中川久通の時代に彫られたことがわかります。月の中には灯明台を置くための窪みが4つ設けられており、当時から夜にこの月を灯りで照らす仕組みが用意されていたと考えられます。稲葉川のほとりにひっそりと佇むこの岩が、年に一度、竹田薪能の舞台として主役に躍り出るのです。

城下町竹田に息づく「お謡」の文化

岡藩の城下町として栄えた竹田は、単なる武家の町ではなく、能楽をはじめとする芸事が町人文化にまで浸透した町でした。竹田薪能は、そうした歴史の記憶を現代に呼び覚ます場でもあります。舞台で舞われる一曲一曲は、遠い元禄の時代から続く竹田の文化そのものを体現していると言えるでしょう。

篝火と水鏡が織りなす幽玄の舞台美

竹田薪能最大の見どころは、なんといってもその舞台美です。篝火の炎が揺れ、水面には三日月岩と夜空の月、そして舞人の姿が二重写しのように映り込みます。過去の公演では、赤頭を纏った舞人や、松明を掲げて水面を進む舟など、日常では出会えない光景が広がりました。

雨天時はグランツたけたへ|中止のない安心の運営

屋外の水上舞台という特性上、天候には配慮が必要ですが、竹田薪能は雨天でも中止にはなりません。雨天時は屋内会場のグランツたけたに会場を変更するか、日程を改めての開催となるため、購入したチケットが無効になる心配はありません。開催の可否は当日正午までに公式サイトで発表されるとのことなので、来場前に確認しておくと安心です。

2026年の番組見どころ

2026年の番組は、舞囃子・狂言・能の三演目。それぞれ異なる時代と人物を描いた作品が並びます。

舞囃子「安宅」~弁慶の忠義を描く一曲

安宅の関で主君・源義経の危機を機転で救った武蔵坊弁慶。その安堵と感謝を込め、酒宴の席で豪快かつ厳かに舞う場面を描いた一曲です。演者は塩津哲生。忠義と機転、そして人間味あふれる弁慶像が、篝火に照らされて浮かび上がります。

狂言「柿山伏」~笑いに満ちた人間模様

他人の柿畑で盗み食いをした山伏が、家主に見つかってしまうという滑稽な一幕。烏や猿の真似をさせられる山伏の姿は、狂言らしいユーモアと人間味にあふれています。シテ(山伏)は山本則重、アド(柿主)は山本則秀、後見は若松隆が務めます。荘厳な能や舞囃子とは対照的な、笑いの効いた一幕です。

能「橋弁慶」~弁慶と牛若丸、宿命の出会い

五条の橋を舞台に、武蔵坊弁慶と牛若丸(源義経)が出会う名場面を描いた作品。薙刀を振り回す怪力の弁慶を、身軽な牛若丸が翻弄し、やがて主従の誓いを交わすまでを、躍動感あふれる立ち回りで見せます。演者は塩津圭介、塩津希介。アイ(都の者)は山本則秀、山本則重が務めます。夜の水上舞台で繰り広げられる立ち回りは、篝火の炎とともに一層の緊張感を帯びることでしょう。

チケット情報と観覧のポイント

席種と価格(SS席・指定席・自由席)

チケットは3種類。水面が見える特別席「SS席」は限定13席の最前列で、水面に映る三日月と舞台を望む特等席です。窓口購入15,000円、ウェブ事前購入20,000円、当日券30,000円。指定席(100席)は窓口7,000円、ウェブ10,000円、当日券15,000円。自由席(約300席)は窓口5,000円、ウェブ7,000円、当日券10,000円となっています。価格はすべて税込です。

購入方法別の注意点(窓口・ウェブ・当日)

ウェブでSS席・指定席を購入する場合、座席番号は選べず、申込み順に主催者側で割り当てられ、確定後にメールで案内が届きます。当日は受付で購入完了メールの画面を提示するとチケットと交換できる仕組みです。当日券は残席がある場合のみの販売となるため、確実に観覧したい方は事前購入がおすすめです。なお、チケットの販売開始時期・方法は決定次第、公式サイトで告知されるとのことなので、こまめなチェックをおすすめします。

アクセスと竹田の旅を合わせて楽しむ

会場・雨天会場へのアクセス

会場の三日月岩前水上能舞台は、大分県竹田市挾田にあり、JR豊肥本線・豊後竹田駅から車で約5分の距離です。雨天時会場のグランツたけたは大分県竹田市玉来1番地1。いずれも竹田の市街地から近く、公共交通機関を利用する場合も比較的アクセスしやすい立地です。

秋の竹田を訪れるなら合わせて立ち寄りたい場所

せっかく竹田まで足を運ぶなら、日中は岡城跡や城下町の散策を楽しみ、夕方から竹田薪能へ、という一日の過ごし方もおすすめです。三日月岩そのものも岡城二の丸月見櫓跡の北側に位置しているため、歴史散策の延長で立ち寄ることができます。

 

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まとめ|一夜だけの幽玄を、竹田で

400年の時を超えて受け継がれる岡藩の能楽文化と、元禄の昔に彫られた三日月岩。その両方が揃う竹田薪能は、他のどの土地でも味わうことのできない、一夜限りの特別な体験です。篝火と水鏡、そして三日月が織りなす幽玄の世界を、ぜひ2026年10月31日、竹田の地で体感してみてください。

 

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白水ダム | 日本一美しいと称される"レースの滝"

お盆を過ぎ、竹田の山あいにも少しずつ秋の気配が近づいてきました。今回ご紹介するのは、竹田市荻町と次倉にまたがる「白水ダム」。灌漑用水を支える現役の農業用堰堤でありながら、国の重要文化財に指定され、「日本一美しいダム」とも称される、知る人ぞ知る名勝です。

白水ダムとは — 灌漑用水を支える"美しい実用美"

正式名称は「白水溜池堰堤水利施設一溝」

通称「白水ダム」と呼ばれていますが、正式名称は「白水溜池堰堤(はくすいためいけえんてい)水利施設一溝」。竹田市と豊後大野市緒方地区を流れる農業用水路「富士緒井路」の水量不足を解消するために築かれた堰堤です。この地域は古くから水に恵まれず、天水と少しの湧水に頼る谷間の水田が度重なる干害に見舞われていたため、大野川上流にこの堰堤が築かれました。

着工は昭和9年(1934年)4月、竣工は昭和13年(1938年)3月。大分県の農林技師たちの手によって設計・施工され、当時高価だったコンクリートの使用量を抑えるため、現地で採れる切石を用いた割石コンクリート造として築かれています。堤長約86m、堤高約14m。ちなみに河川法では堤高15m以上のものを「ダム」と定義しているため、白水ダムは通称であり、法律上は正式な「ダム」ではありません。

国指定重要文化財 第1号(大分県近代化遺産)

平成11年(1999年)5月13日、大分県近代化遺産としては初めて国の重要文化財に指定されました。昭和初期における越流式コンクリート重力ダムを中心とした農業水利施設の代表例として、地形に対応した精緻な構造美が高く評価されています。80年以上にわたり形を変えることなく、現在も約280haの農地を潤す現役施設として、地元の富士緒井路土地改良区によって大切に維持管理されています。

石積みが生み出す"鱗模様"と越流の美しさ

レースカーテンのように流れ落ちる水

白水ダム最大の見どころは、その落水の表情です。この一帯は阿蘇の火山性地質による軟弱な地盤で、当初から落水の衝撃で基礎が崩れる懸念がありました。そこで壁面を滑らかな曲線や階段状に仕上げ、目の粗い凝灰岩の切石を用いることで、水を細かな泡状に変えて水圧を分散させる工夫が凝らされています。右岸側には武者返しのような曲面の流路、左岸側には階段状に連なる流路が設けられ、増水時には左右から流れ落ちる水が中央の水流を包み込むように弱める、独特の仕組みになっています。

その結果生まれるのが、まるで生きた魚の鱗のような、あるいは白いレースカーテンのような水模様。実用のための設計が、そのまま比類のない造形美になっているのが白水ダムの真骨頂です。

大分むぎ焼酎「二階堂」のCMで一躍有名に

2006年、大分むぎ焼酎「二階堂」のテレビCMのロケ地として紹介されたことをきっかけに、白水ダムの存在は広く知られるようになりました。今も、秋田県の藤倉ダム、愛知県の長篠堰堤とあわせて「日本三大美堰堤」のひとつに数えられることがあります。

見学のベストシーズンは?越流時期に注意

現在の越流状況(2026年6月12日〜再開中)

白水ダムは灌漑用水の調整ダムであるため、一年を通して水が流れているわけではありません。2026年は6月12日より越流が再開しており、次の越流停止は2026年11月下旬ごろが予定されています。訪問前には、大分県豊肥振興局農林基盤部(TEL 0974-63-1175)の告知で最新の状況を確認しておくのがおすすめです。

灌漑期に合わせた季節限定の景観という価値

この越流のスケジュールこそ、白水ダムが「農業用施設」であることの何よりの証です。田んぼに水が必要な時期に合わせて水が流れ、必要のない時期には静かに水を湛える。観光地である前に、今も現役で地域の農地を支え続けているからこその季節限定の景観、というのがこのダムの本質的な魅力だと感じます。

アクセス・駐車場情報

豊後竹田駅から車で約25分

JR豊後竹田駅から車で約25分(約11km)。右岸側(上流から見る場合)は竹田市大字次倉、左岸側(下流から見る場合)は竹田市荻町鴫田に位置します。水の流れを正面に見て右側が左岸、左側が右岸となる点にご注意ください。

左岸・右岸それぞれの駐車場(鴫田側/次倉側)

左岸側には鴫田第1駐車場(8台・マイクロバス3台)と第2駐車場(10台)があり、トイレ(男性:和式1・小2、女性:洋式1・和式1、多目的1)も併設。右岸側には次倉駐車場(10台程度)があります。

あわせて訪れたい周辺スポット

白水の滝

白水ダムと同じく荻・祖母山麓エリアにある名瀑。あわせて巡ることで、この地域の"名水"としての奥深さを感じられます。

音無井路円形分水(音無井路十二号分水)

限られた水を公平に分けるための円形分水施設。白水ダムと同じく、農業用水を巡る先人の知恵と技術が生んだ土木遺産です。

神原渓谷・神原渓谷大橋

渓谷美を楽しめるスポットとして、ドライブの立ち寄り先にもおすすめです。

祖母・傾・大崩ユネスコエコパークの中の白水ダム

白水ダムが位置する竹田市荻町一帯は、「祖母・傾・大崩ユネスコエコパーク」のエリア内にあります。豊かな自然環境と共生しながら、人の営み(農業)を支え続けてきた土木遺産として、白水ダムはまさにこのエコパークの理念を体現する存在といえるでしょう。美しさの裏側にある「今も現役で人々の暮らしを支えている」というストーリーこそ、この場所を訪れる際にぜひ知っておいていただきたいことです。

【くじゅう高原の夏】夜の花畑と星空を楽しむ「ナイトフラワーパークSummer 2026」

真夏の夜、くじゅう花公園が「涼しい花畑」に変わる

日中の日差しが弱まり、あたりが藍色に染まっていく頃。標高850mの久住高原に、もうひとつの「くじゅう花公園」が姿を現します。

私たちがよく知る、太陽の下で咲き誇る花々の公園ではなく、光と影が織りなす、幻想的な夜の花畑。それが、この夏だけの特別な時間、「ナイトフラワーパークSummer」です。

8日間限定「ナイトフラワーパークSummer」とは

2026年8月7日(金)から8月14日(金)までの8日間、くじゅう花公園では通常営業終了後の18時から、特別な夜間営業がスタートします。園内の花畑が照明デザイナーの手によってライトアップされ、昼間とはまったく異なる表情を見せてくれる、期間限定のイベントです。

大分県が展開する「NATURE COOL OITA〜実は涼しい大分県〜」プロジェクトとも連動しており、「夏の暑さを避けて涼を求める旅」という視点で企画された夜間営業でもあります。

昼間とは違う、夜のくじゅう花公園へ

くじゅう花公園といえば、季節ごとに移ろう花々と、くじゅう連山を背景にした爽快な景観が魅力の観光スポット。ですが、夜の顔はまったくの別物です。

陽の光の下で花を「見る」時間から、ライトアップされた花畑の中を「歩き、包まれる」時間へ。同じ場所でありながら、体験の質そのものが変わる。それが、ナイトフラワーパークの一番の魅力です。

「エアコンのいらない高原」という夏の過ごし方

連日の猛暑にエアコンの効いた室内で過ごす夏も悪くはありませんが、久住高原にはもうひとつの選択肢があります。標高の高さがつくり出す、自然な涼しさの中で過ごす夏の夜です。

汗ばむ街の熱帯夜を離れ、涼やかな高原の風に吹かれながら花畑を歩く。それは、電気の力ではなく、土地そのものが持つ涼しさに身をゆだねる時間と言えるかもしれません。

夜のくじゅう花公園で出会いたい、5万株のひまわり

見晴らしの丘を彩る約5万株のひまわり

ナイトフラワーパークSummerの主役は、園内「見晴らしの丘」(約4,000㎡)に咲く、約5万株のひまわりです。照明デザイナー監修のもとライトアップされ、黄金色に浮かび上がる花畑が、夜の高原に出現します。

歩く方向によって、まったく違う景色に出会えるのも見どころのひとつ。東西で異なる品種が植えられているため、ひとつの丘の中で二つの物語を楽しむことができます。

低く可憐な「40日ひまわり」と迫力の「ハイブリッドサンフラワー」

東側エリアに広がるのは、約2万株の「40日ひまわり」。背丈1m前後と低めで、可憐な花を咲かせる品種です。夜のライトアップに照らされた姿は、昼間の可愛らしさとはまた違う、儚げな美しさをまとっています。

一方、西側エリアに咲くのは、約3万株の「ハイブリッドサンフラワー」。大人の背丈ほどまで伸び、顔よりも大きな大輪の花を咲かせる、圧巻のダイナミックビューです。ライトに照らされて浮かび上がる大輪の群れは、昼間見るのとはまるで違う迫力を放ちます。

彩の丘に浮かぶ、今年初登場のグリーンコキア5,000株

2026年は、見晴らしの丘だけでなく「彩の丘」(約3,000㎡)にも新たな見どころが加わりました。今年初めてライトアップの対象となった、約5,000株のグリーンコキアです。

モコモコとした愛らしいシルエットのコキアが、暗闇の中にぼんやりと浮かび上がる様子は、ひまわりの力強い黄色とはまた違う、やわらかな幻想感を演出してくれます。ひまわり畑とあわせて、ぜひ立ち寄りたいエリアです。

昼とは違う、夜のひまわり畑の表情

実はこの5万株のひまわり、昼間は「ひまわりフェスティバル」として、2026年8月1日(土)〜8月16日(日)の期間、太陽の下でも楽しむことができます。品種や株数、丘の構成は昼夜で共通しており、光の当たり方によって表情がまったく異なるのが面白いところです。

昼のひまわり畑の詳しい見どころや、「なぜハイブリッドサンフラワーは同じ方向を向いて咲くのか」という豆知識については、以下の記事でも詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。

 

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星空と夜風。ナイトフラワーパークで感じる「くじゅうの涼」

標高850mだからこそ生まれる高原の涼しさ

くじゅう花公園が位置するのは、標高約850mの久住高原。夜になると、平地に比べて気温が3℃〜5℃ほど低くなると言われています。真夏の熱帯夜からすっと解放される、その体感差こそが、ナイトフラワーパークの隠れた主役かもしれません。

九重連山から吹き抜ける夜風

花畑の向こうにそびえる九重連山から吹き下ろす風は、街の熱気とは無縁の、澄んだ涼しさをたたえています。薄手の上着を1枚羽織って歩けば、街の熱帯夜がまるで別世界のことのように感じられるはずです。

花畑の向こうに広がる夏の星空

周囲に強い街灯りがない久住高原の夜は、星空観察にも適した環境です。ライトアップされた花畑と、その上に広がる満天の星。地上の光と天の光、両方を一度に楽しめるのは、この時期、この場所ならではの贅沢と言えるでしょう。

くじゅう高原は、なぜ「夏の避暑地」なのか

標高の高さが生み出す、平地との気温差

大分県は、夏になると最高気温のニュースで話題になることも少なくない土地です。しかし県内には、標高の高さゆえに気温が上がりにくい「涼しいスポット」も数多く存在します。くじゅう地域はその代表格。標高850m前後という土地の高さが、夏でも過ごしやすい気候をつくり出しています。

阿蘇くじゅう国立公園に広がる高原の自然

くじゅう花公園があるのは、阿蘇くじゅう国立公園の懐に抱かれた久住高原。国立公園として保護されてきたこの土地には、花公園以外にも、豊かな高原の自然が広がっています。

花だけではない、くじゅうの「涼」を楽しむ

大分県が発信する「NATURE COOL OITA〜実は涼しい大分県〜」というプロジェクトでは、くじゅう地域の涼しさを楽しむさまざまな体験が紹介されています。飯田高原での星空観察、男池での森林浴、藤河内渓谷でのキャニオニング、寒の地獄温泉の冷泉サウナ……。花畑を歩く涼しさは、そうしたくじゅうの「涼」の楽しみ方のひとつに過ぎません。夜のひまわり畑を訪れた際は、こうした周辺の涼スポットにも目を向けてみると、旅の奥行きがぐっと広がります。

くじゅうの自然を守り、楽しむということ

国立公園として守られてきたくじゅうの自然

くじゅう花公園を含む久住高原一帯は、阿蘇くじゅう国立公園のくじゅう地域として、長年にわたり自然環境が守られてきた土地です。この保護があってこそ、私たちは今、標高850mの高原で涼やかな夜を過ごすことができます。

ユネスコエコパークというもう一つの視点

大分県には、くじゅう地域とは別に、祖母山・傾山・大崩山を中心とした「祖母・傾・大崩ユネスコエコパーク」というもう一つの自然保護区域があります。実はこのエコパーク、竹田市南部にもまたがっており、久住高原のある竹田市北部の「涼」と、祖母山麓の「涼」、両方を市域に持つのが竹田市という土地の面白さです。

くじゅう花公園を訪れる際は、こうした竹田市全体が持つ「涼しい自然」の広がりにも、少しだけ思いを馳せてみてください。

「見る」だけではない、自然と暮らしのつながり

ライトアップされた花畑の美しさは、あくまで人の手による演出です。しかしその背景には、国立公園やユネスコエコパークとして守られてきた、久住高原そのものの自然があります。花を「見る」だけでなく、その花を育む土地の涼しさや豊かさに触れることも、この夏の旅の楽しみ方のひとつではないでしょうか。

昼と夜、どちらのくじゅう花公園を楽しむ?

昼は花畑、夜は幻想的な高原へ

同じ「見晴らしの丘」の5万株のひまわりでも、昼と夜とではまったく違う顔を見せてくれます。昼は青空の下で咲き誇る、力強く生命力あふれるひまわり畑。夜は照明に浮かび上がる、幻想的で静かなひまわり畑。どちらが優れているというものではなく、それぞれに異なる魅力があります。

ひまわりフェスティバルとナイトフラワーパークを組み合わせる

ひまわりフェスティバルの開催期間(8月1日〜8月16日)と、ナイトフラワーパークSummerの開催期間(8月7日〜8月14日)は一部重なっています。この重なる期間中に訪れれば、昼のひまわり畑を満喫したあと、日が沈むのを待って、同じ場所で夜のひまわり畑も体験するという、贅沢な一日を過ごすことも可能です。

くじゅう花公園入園券はこちらから

ナイトフラワーパークSummer 2026の開催情報

開催期間・時間・入園料

  • 開催期間:2026年8月7日(金)〜8月14日(金)[計8日間]
  • 営業時間:18:00〜21:00(最終入園20:30)
    ※17:30に一度全園閉園(退園)となります
  • 夜間入園料:大人(高校生以上)1,000円/小人(5歳以上)400円
  • ※昼間ご入園の方も、ナイト営業を楽しむ場合は別途夜間チケットの購入が必要です

アクセス・駐車場

会場は、くじゅう花公園(大分県竹田市久住町大字久住4050)。駐車場は無料で利用でき、夜間の移動に配慮した高輝度LED照明も整備されています。

夜の高原を歩くために準備したいもの

標高850mの高原は、日が落ちると平地よりかなり涼しく(肌寒く)感じられることがあります。薄手の上着やカーディガンを1枚持参すると、より快適に過ごせます。また、夜間の散策となるため、歩きやすいスニーカーなどの足元での来園がおすすめです。

天候や開花状況を確認して出かけよう

ひまわりは天候や気温によって開花状況が変わりやすい花です。お出かけ前には、くじゅう花公園の公式サイトや開花情報を確認してから向かうと安心です。

竹田・久住で「涼」をめぐる夏旅へ

ナイトフラワーパークSummerをきっかけに、久住高原だけでなく、竹田市内の他の涼スポットにも足を延ばしてみてはいかがでしょうか。同じ竹田市内には、湧水群やソフトクリームでめぐるドライブスタンプラリーなど、夏ならではの楽しみ方も揃っています。

花の向こうに、くじゅう高原の夏がある

「涼しい」は、くじゅうの自然がつくる魅力

ナイトフラワーパークSummerの美しさは、照明デザインの力だけで生まれているわけではありません。標高850mという土地の高さ、九重連山から吹き下ろす風、国立公園として守られてきた自然環境。そのすべてが重なり合って、「涼しい花畑」という一夜限りの景色をつくり出しています。

今年の夏は、夜の高原へ

お盆の8日間だけ出現する、幻想的な夜の花畑。街の暑さを忘れさせてくれるこの時間を、ぜひ今年の夏、久住高原で体験してみてください。

 

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