竹田市に誕生した新名所「しだれ桜の里」とは
大分県竹田市、日本屈指の炭酸泉で知られる長湯温泉のすぐそばに、春の訪れとともに桃源郷のような景色が広がる場所があります。それが「長湯温泉しだれ桜の里」です。
ここは単なる観光農園ではありません。一歩足を踏み入れれば、視界を埋め尽くす淡いピンク色のカーテンと、里山を包む柔らかな空気に、誰もが言葉を失うはずです。竹田の新しい春の象徴として、いま最も注目を集めているスポットの舞台裏を紐解いてみましょう。
15年かけて店主が一人で切り拓いた“手づくりの桜源郷”
この圧倒的な景色の始まりは、たった一人の情熱でした。
「長湯温泉を訪れる人々に、もっと喜んでもらえる場所を作りたい」
そんな想いを抱いた店主が、荒れていた山を切り拓き始めたのは今から約15年前のことです。重機を自ら操り、一本一本丁寧に苗木を植え、来る日も来る日も山と向き合う日々。気が遠くなるような年月を経て、かつての藪山は見事な「桜の里」へと生まれ変わりました。
私たちが目にする2600本もの桜は、いわば「竹田への愛」が形になったもの。木々の間を歩いていると、整いすぎた公園にはない、人の手がつくりだした温もりと力強さが伝わってきます。
くじゅう連山を背景に広がる3万坪の圧倒的スケール
しだれ桜の里のもう一つの主役は、背後にそびえる「くじゅう連山」の雄大な姿です。
東京ドーム約2個分に相当する3万坪もの広大な敷地は、高低差を活かして設計されており、どの角度から眺めても絵画のような美しさ。見上げれば、青く澄んだ空と残雪を抱く山々、そして降り注ぐようなしだれ桜が幾重にも重なり、独特のグラデーションを描き出します。
特に、丘の上から見下ろす景色は圧巻。谷を埋め尽くすピンクの雲海のような眺めは、まさに「現代の桃源郷」と呼ぶにふさわしいスケール感です。都会の喧騒を忘れ、竹田の自然が持つエネルギーを全身で感じてみてください。

見どころ|西日本最大級、色彩が重なる「桜のリレー」
「しだれ桜の里」を訪れて驚かされるのは、その色彩の奥深さです。単一の品種ではなく、色も形も異なる桜が共演することで、山全体がまるで一幅の絵画のようなグラデーションに染め上げられます。
大漁桜から八重紅枝垂まで、6種類が織りなすグラデーション
園内には、早咲きから遅咲きまで、個性豊かな6種類の桜が植えられています。
咲き始めを告げるのは、鯛の色に似ていることから名付けられた「大漁桜(たいりょうざかり)」。続いて、淡いピンクが可憐な「小松乙女(こまつおとめ)」、そして濃い紅色の花弁が美しい「八重紅枝垂(やえべにしだれ)」へと、主役が次々に移り変わります。
この「桜のリレー」があるからこそ、一度きりではなく、時期をずらして何度も訪れたくなる。訪れるたびに違う表情に出会えるのが、竹田の春の新しい楽しみ方です。
視界を埋め尽くす300本のしだれ桜は圧巻
数ある桜の中でも、この里の象徴となっているのが約300本の「しだれ桜」です。
大きく枝を広げ、地面に届かんばかりに花を咲かせるしだれ桜の下を歩くと、まるで桜のシャワーを浴びているような幻想的な感覚に包まれます。風が吹くたびに、しなやかな枝が揺れ、淡い花びらが舞い落ちる光景は、時間を忘れて立ち尽くしてしまうほどの美しさ。
これほどまでの密度と数でしだれ桜を堪能できる場所は、西日本でもそう多くありません。空を覆いつくすピンクの天蓋(てんがい)を見上げながら、贅沢なひとときをお過ごしください。

菜の花の黄色と桜色のコントラストを楽しむ里山歩き
「しだれ桜の里」の美しさをさらに引き立てているのが、足元を彩る草花たちです。
桜のピンク色と鮮やかな対比を見せるのは、一面に広がる「菜の花」の黄色。さらに、可憐なスイセンの花も顔を出し、春の色彩が何重にも重なり合います。
舗装されすぎていない里山の小道を、土の感触を感じながら歩く。耳を澄ませば鳥の声が聞こえ、五感すべてで春の訪れを感じることができます。カメラを向ければ、どこを切り取っても「竹田の春」を象徴する一枚が撮れるはず。ぜひ、お気に入りの景色を探しながら、ゆっくりと散策を楽しんでみてください。

2026年の見頃・開花時期|いつ行くのがベスト?
「せっかく竹田まで行くのなら、一番いい時期に訪れたい」と思うのは当然のこと。しかし、しだれ桜の里の魅力は「一番いい時期」が一度だけではないところにあります。2026年の最新情報とともに、ベストタイミングの見極め方をご紹介します。
例年の見頃(3月中旬〜4月上旬)と最新の開園情報
例年、しだれ桜の里が最も華やぐのは3月中旬から4月上旬にかけてです。
2026年の桜は平年並みの開花が予想されています。また、3月28日(土)には「夜桜神楽」などのイベントも予定されており(雨天順延あり)、この時期はまさに里山が一年で最も活気づくタイミングとなります。
お出かけ前には、公式サイトやSNSでその日の開花状況をチェックすることをおすすめしますが、「いつ行っても何かの桜が迎えてくれる」という安心感もこの場所の良さです。
品種ごとに楽しめる“リレー咲き”が魅力
しだれ桜の里が多くのリピーターに愛される理由は、約1ヶ月にわたって続く「桜のリレー」にあります。
- 3月中旬〜: まずは「大漁桜(たいりょうざかり)」が先陣を切ります。濃いめのピンク色が青空に映え、春の訪れを力強く告げてくれます。
- 3月下旬〜: 続いて、可憐な「小松乙女(こまつおとめ)」や「陽光桜(ようこうざかり)」が開花。里山全体が淡い桜色に包まれます。
- 4月上旬〜: そして真打ちとして登場するのが、約300本の「八重紅枝垂(やえべにしだれ)」です。滝のように降り注ぐしだれ桜のトンネルは、この時期だけの特別な景色です。
「先週はあの桜が綺麗だったけれど、今週はこの桜が満開だね」
そんな風に、訪れるたびに異なる主役に出会える贅沢。一度の訪問で満足せず、二度、三度と足を運ぶことで、竹田の春の深まりをより一層感じることができるはずです。
「長湯温泉しだれ桜の里」基本情報
訪れる前にチェックしておきたい基本情報をまとめました。2026年シーズンは、週末の夜間営業も予定されており、夜桜を楽しむチャンスもあります。
- 開園期間:2026年3月中旬ごろ〜(桜の状況により変動)
- 入園料:大人(12歳以上):500円/ 小人(6歳〜11歳):300円
※6歳未満:無料
※シーズン中何度でも入れる「シーズンパス」もあり(大人1,300円 / 子ども700円)
- 開園時間:
月〜木曜:8:00〜17:00
金〜日曜:8:00〜21:00(夜間ライトアップ営業あり)
- 駐車場:約500台(無料)
アクセス|渋滞回避とスムーズな移動のコツ
「長湯温泉しだれ桜の里」は、竹田市の中心部から少し離れた直入町に位置しています。広大な里山の景色を守るため、静かな場所にありますが、事前のルート確認がスムーズな旅の鍵となります。
竹田ICから約17分、ドライブコースとしての魅力
お車でお越しの際、最も便利なルートは中九州横断道路の**「竹田IC」**を利用する方法です。インターを降りてから、県道47号線などを経由して約17分ほどで到着します。
道中は、くじゅう連山の山並みを眺めながらの爽快なドライブコース。特に春先は沿道の緑も美しく、目的地に着く前から竹田の自然を満喫できます。また、大分市方面からは約60分、湯布院ICからも約30分と、県内の主要観光地からのアクセスも良好です。無料駐車場も約500台分完備されているため、安心してお出かけください。
【注意】公共交通機関よりも車・レンタカーを推奨する理由
遠方からお越しの方の中には電車やバスを検討される方もいらっしゃるかもしれませんが、快適に楽しむなら**「お車(マイカー・レンタカー)」**が圧倒的におすすめです。
その理由は、公共交通機関の利便性にあります。
最寄りの「JR豊後竹田駅」から路線バスを利用する場合、乗車時間は約40分。さらにバス停(長湯車庫など)から園内までは徒歩で15〜20分ほどかかります。また、バスの便数自体が限られているため、帰りの時間を常に気にしながらの散策となってしまいます。
さらに、しだれ桜の里がある直入エリアは、人気の「ラムネ温泉館」や「ガニ湯」といった長湯温泉のメインスポットから少し離れた高台にあります。「桜を見てから温泉へ」という移動も、車があればわずか数分。竹田の春を欲張りに楽しむなら、ぜひお車での移動を検討してみてください。
訪れる前にチェック!快適に楽しむための3つのポイント
「長湯温泉しだれ桜の里」を心ゆくまで楽しむためには、事前のちょっとした準備が欠かせません。現地に行ってから「しまった!」とならないための、3つのポイントをご紹介します。
園内は広大!歩き慣れた靴と温度調節できる服装で
まず、最も大切なのは**「歩き慣れた靴(スニーカーなど)」**で訪れることです。
3万坪という広大な敷地は、里山の自然な地形を活かして作られています。整備された遊歩道もありますが、坂道や未舗装のエリアも多いため、ヒールのある靴やサンダルでは足が疲れてしまい、奥にある絶景ポイントまで辿り着くのが難しくなります。
また、竹田市直入町は標高が高く、春先でも風が冷たく感じることがあります。散策して体が温まっても、急に雲が出ると冷え込むため、脱ぎ着しやすい上着を用意するなど、温度調節できる服装を心がけましょう。
お花見弁当の持ち込みや飲食ブースについて
美しい桜を眺めていると、やはり楽しみになるのが「花より団子」ですよね。
園内には、桜のシーズンに合わせて地元の美味しいものが集まる飲食ブースが出店されます。竹田名物のとり天や、温かい軽食などをその場で味わうのも楽しみの一つです。
また、お弁当の持ち込みも可能ですが、園内は**「火気厳禁」**。バーベキューなどはできませんのでご注意ください。ゴミは必ず持ち帰る、指定の場所で食べるなど、店主が15年かけて守り育ててきたこの美しい里山を汚さないよう、マナーを守って「静かなお花見」を楽しみましょう。
混雑を避けるなら「平日」または「午前中」が狙い目
2026年も、見頃の時期の週末はかなりの混雑が予想されます。特に11時から14時頃までは駐車場が混み合い、周辺道路が渋滞することもあります。
ゆったりと静かに桜を愛でたい方は、「平日の午前中」、できれば開園直後の8時台を目指して訪れるのがベストです。朝の澄んだ空気の中で、朝日を浴びて輝くしだれ桜は、息を呑むほどの神々しさがあります。
もし週末に訪れる場合は、少し時間をずらして夕方のライトアップ(金〜日曜限定)を狙うのも一つの手。日中の喧騒が落ち着き、幻想的な夜桜が迎えてくれます。
宿泊して堪能する「長湯温泉×夜桜」の贅沢
「しだれ桜の里」を訪れるなら、日帰りではもったいない理由があります。それは、この場所が日本屈指の炭酸泉・長湯温泉のすぐそばにあるから。桜と温泉、この二つが組み合わさることで、竹田の旅はより深く、忘れられないものになります。
日帰りではもったいない!夜間ライトアップと静寂のひととき
2026年シーズン、金・土・日曜に実施される夜間営業は、宿泊者だけがゆったりと堪能できる特権です。
日が落ちると、300本のしだれ桜がライトに照らされ、夜の闇に浮かび上がります。日中の明るく柔らかな表情とは一変し、どこか妖艶で幻想的な姿。風に揺れる枝の音だけが聞こえる静寂の中で眺める夜桜は、日帰りの慌ただしさの中では決して味わえない贅沢です。
「せっかく竹田まで来たのだから、時間を気にせずこの景色に浸りたい」
そんな願いを叶えてくれるのが、長湯温泉での宿泊です。ライトアップを楽しんだ後、冷えた体をすぐに温泉で温める……これ以上の幸せはありません。
世界屈指の炭酸泉「ラムネ温泉」や「ガニ湯」で癒やされる
しだれ桜の里から車でわずか数分。そこには「飲んで効き、長湯して利く」と称えられる長湯温泉が待っています。
特におすすめしたいのが、その独特な外観でも知られる「ラムネ温泉館」。体に銀色の泡が付着する高濃度の炭酸泉は、じっくり浸かることで芯から血行を促進し、散策で歩き疲れた足を優しく解きほぐしてくれます。
また、川沿いにポツンと佇む開放的な露天風呂「ガニ湯」も長湯のシンボル。川のせせらぎを聞きながら、開放感たっぷりの入浴を楽しむのも竹田らしい体験です。
長湯温泉には、個性豊かな湯宿が点在しています。
「桜を見て、温泉に浸かり、地元の滋味豊かな料理をいただく」
そんな日常を忘れた一泊二日の旅はいかがでしょうか。
taketabiyori.hatenablog.jp
taketabiyori.hatenablog.jp
あわせて巡りたい竹田・久住の春スポット
「しだれ桜の里」を訪れたなら、ぜひそのまま足を延ばしてほしい場所が他にもあります。竹田市は「水の里」であり「花の里」でもあるからです。
竹田湧水群で名水を味わう
長湯温泉から車で約20〜30分ほど移動すると、環境省の「名水百選」にも選ばれている**「竹田湧水群」**が点在しています。
特におすすめなのが、絶え間なく清らかな水が湧き出す「河宇田(かわうだ)湧水」や、静かな杉林に囲まれた「泉水(せんすい)湧水」です。春の柔らかな日差しの中で、こんこんと湧き出る水を眺めるだけで心が洗われるような心地になります。
地元の人が水を汲みに来る光景も竹田ならでは。マイボトルを持って、その場で喉を潤してみてください。この清らかな水が、竹田の美味しいお米や野菜、そして極上の温泉を育んでいることを実感できるはずです。
くじゅう花公園や城下町散策への寄り道
さらに「花の旅」を満喫したい方は、久住高原にある**「くじゅう花公園」**へ。
しだれ桜の時期には、チューリップやビオラ、シバザクラなど、高原ならではの色彩豊かな花々が咲き誇ります。くじゅう連山をより間近に望む開放感は、里山の桜とはまた違った感動を与えてくれます。
また、歴史好きの方なら**「竹田城下町」**への立ち寄りも欠かせません。
かつての岡藩の面影を色濃く残す武家屋敷通りを歩いたり、作曲家・瀧廉太郎が愛した「荒城の月」の舞台・岡城跡を散策したり。城下町のカフェで、竹田の銘菓とともにひと休みする時間は、旅の締めくくりにぴったりです。
自然、水、歴史、そして人の温もり。
「しだれ桜の里」をきっかけに、一歩深く竹田の街に触れてみれば、きっとこの場所が「また帰りたくなる故郷」に変わっていくはずです。
まとめ|竹田の春を象徴する「新しい風景」を未来へ繋ぐ
たった一人の情熱から始まった「長湯温泉しだれ桜の里」は、今や竹田の春を彩るかけがえのない宝物となりました。15年の歳月をかけて育てられた2600本の桜は、訪れる私たちに自然の美しさだけでなく、一つの場所を慈しみ育てることの尊さを教えてくれます。
この圧倒的な桃源郷を五感で楽しみ、その後は長湯の湯に癒やされる。そんな贅沢な時間が、あなたにとって「また来年も竹田へ帰ってきたい」と思えるきっかけになれば幸いです。
一度きりの観光ではなく、何度も訪れ、共にこの新しい風景を未来へ繋いでいく。そんな温かな旅を、ぜひこの春、竹田で見つけてください。
【長湯温泉しだれ桜の里を訪ねるバスツアー】
西日本一のしだれ桜!大分・竹田の約2600本の桜が咲き誇る『長湯温泉しだれ桜の里』ご観賞と本場・佐賀関で味わう新鮮な「関あじ関さば御膳」